甲状腺ホルモンは新陳代謝を促す働きのあるホルモンで、その分泌は髪の毛の健康にも影響を与えると言われています。この記事ではそんな甲状腺ホルモンについて私なりに考えた事をまとめています。尚、甲状腺ホルモンについては別ブログ「身長を伸ばす方法について考えてみた」にある『身長の伸びに影響を与える甲状腺ホルモンについて』にも詳しくまとめているのでそちらも合わせてご覧下さい。

甲状腺ホルモンの役割について

甲状腺ホルモンは喉仏の下辺りにある「甲状腺」という場所から分泌されるホルモンです。特に「古くなった細胞を取り除き、細胞を新しく作り変える」という新陳代謝の過程をスムーズにする役割があるとされ、実はあらゆる細胞に甲状腺ホルモンを受け取るための受容体があると言われています。つまり蛋白質の合成には必要不可欠なホルモンであり、髪の毛云々以前に、心身の健康を維持する上で非常に重要なホルモンです。

また甲状腺ホルモンはそれを受け取った細胞のエネルギー代謝を活発化させ、糖・脂肪・蛋白質をエネルギーへ変換しやすくする役割もあります。これも新陳代謝を促すためで、これによっては単純に「基礎代謝」が上がり、摂取したエネルギーが効率良く消費されるようになります。逆に言うと甲状腺ホルモンの分泌が悪くなると、基礎代謝が下がり、糖・脂肪・蛋白質が余って新たな脂肪として蓄積したりするようになります。


甲状腺ホルモンの分泌を促すには?

甲状腺ホルモンは脳下垂体から分泌される「甲状腺刺激ホルモン」によって分泌、またその「甲状腺刺激ホルモン」は、視床下部から分泌される「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン」によって分泌されています。

これらの内、特に視床下部は大脳と中脳の間にある「間脳」という場所にあり、ここは自律神経の中枢部分です。自律神経は「活動」の交感神経と、「鎮静」の副交感神経から成り立っており、特にストレス反応において重要な役割を果たしています。例えばストレスを受けると交感神経が興奮し、血圧を高めたり、呼吸を速めたり、心臓の鼓動を速めたりします。しかしその反応が過度に起こると心身に大きな負担となるため、副交感神経が交感神経を抑え、常に上手くバランスを取っています。一方、ストレス環境ではその頻度が高くなり、次第にどちらも疲労していきます。そうしてストレスを受けて自律神経が乱れると、甲状腺ホルモンの分泌にまで影響を及ぼす事があります。だからこそ髪の毛の健康にはストレスコントロールが重要なのです。

また甲状腺ホルモンはアミノ酸の一種である「チロシン」と、ミネラルの一種である「ヨウ素」などから作られています。この内、チロシンは必須アミノ酸の一種である「フェニルアラニン」から体内で合成されます。しかし必須アミノ酸は蛋白質を多く含む食品(肉、魚、卵、乳、大豆)から摂取できるので、それが制限されると稀に材料が不足してしまう事があります。特に蛋白質を多く含む動物性の食品は髪の毛に悪いという印象があり、過度な制限が逆効果になってしまう場合があります。

一方、ヨウ素は海産物全般に含まれるミネラルです。島国に住んでいる日本人は摂取機会に恵まれており、本来は意識的な摂取は必要ないものですが、同じように過度な食事制限の他、食物アレルギーや好き嫌いなどによっては稀に不足する可能性もあります。そうしてヨウ素が不足する事でも、甲状腺ホルモンの分泌が悪くなり、結果として髪の毛の健康に悪影響を及ぼす事があるのです。


甲状腺ホルモン機能を低下させる病気に注意する

甲状腺ホルモンではその分泌を低下させる病気があります。特に、先天的(生まれつき)に甲状腺機能が低下してしまう「先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)」と、少し後になってから症状が出る「後天性甲状腺機能低下症」の2つに分けられます。この内、8割程度が先天的なケースと言われており、後天的に低下するケースの方が珍しいようです。一方、甲状腺に関する病気では逆に分泌を過剰に行うバセドウ病等もあり、そのような甲状腺関連の疾患全体として、実は女性の方が病気にかかりやすいという統計があるようです(男性で起こらない訳ではない)。

特に後天的に起こる場合、前述のように甲状腺ホルモンはあらゆる細胞へ影響を与えているので、細胞が正常にエネルギーを得られず、全身にある様々な細胞・様々な機能が低下する事になります。それによっては、例えば今まで順調に身長が伸びてきた人では、甲状腺ホルモンの分泌が悪くなる事で、その成長スピードが急激に遅くなる事があります。当然髪の毛の健康にも悪影響を及ぼすでしょう。

他では、そのように代謝異常が起こる事で、全身あるいは体のどこかがだるく感じたり、水分代謝が低下する事でむくんだり、記憶力や集中力の低下などが起こる事もあるようです。場合によっては人格まで変化し、人間関係にも影響を及ぼす事もあるそうです。それらの症状が出て、すぐに気づく事ができれば治療によって改善しますが、これらの症状は風邪や仮病、あるいはその他の病気と誤認される事も多く、見逃されがちなので注意すべきです(特に男性)。できるだけ早く気づき、治療を開始(内分泌科などを受診)しましょう