腸内環境を整え、便通を改善する事も、髪の毛の健康を維持していく上では非常に重要な事です。ここではそれについて私なりに考えた事を書いてみます。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

老廃物を排出し新陳代謝を促そう

人間は小便(尿)、大便、汗、皮脂、咳、クシャミ、鼻水、痰、涙などから、体内で不要となった老廃物、有害な物質などを排出する事ができます。特にこの中では「大便」の割合が最も大きく、体の外へ排出されるものの内、実に8割以上を占めているとも言われています。それだけ便通は「老廃物を排出する役割」として重要なものという事です。

「大便」と聞くと、食べ物の中でも消化吸収できなかったものが大便になり、また食物繊維がその元になるという認識ですが、大便には食べ物以外にも様々な物質が含まれています。例えば大便特有の茶色は、古くなった赤血球の色素が代謝される過程で作られたものです。赤血球は蛋白質の中でも非常に合成が活発で、常に新しく作り変える必要があるので、そうして古くなり捨てる量も多いのです。もちろんこれは赤血球に限った事ではありません。蛋白質は常に新しく作り変えられており、古くなったものは分解して再利用するか捨てる必要があります。それこそが「新陳代謝」です。

排出されるべき老廃物が便として排出されず、それが体内に蓄積する事では、そんな新陳代謝の過程を邪魔してしまう事があります。例えば食べ物や栄養素の消化・吸収・代謝を邪魔したり、血液や水分の巡りを悪くしたり、脳や他の臓器の働きを鈍らせたり、怪我や肌荒れなどの治りを遅くしたり、あるいは免疫力が低下して病気にかかりやすくなるという事もあります。

また便として上手く排出されないという事は、そもそも便の排出に至るまでの過程が上手く行われていない可能性もあります。特に摂取したものを処理する肝臓や腎臓の働きは重要です。肝臓や腎臓の機能を低下させるような不摂生、例えば暴飲暴食もそうですが栄養失調、水分不足、睡眠不足なども、便の状態に大きな影響を与えます。腸の巡りを良くしようと発酵食品や食物繊維を摂取しようとする人は多いのですが、それだけでは不十分です。生活習慣全体を見直すべきでしょう。


発汗によるデトックス効果は僅かなもの

老廃物の排出においては、例えば半身浴、有酸素運動、サウナ、あるいは辛い食べ物を食べる事による「発汗」によっても排出する事ができるとされ、それによる効果をいわゆる「デトックス効果」などと言う事があります。それを意識的に行っている人も多いですよね。

しかし実際には発汗によるデトックス効果は微々たるもの(大便としての役割を考えれば当たり前の事)で、汗によって排出されるのは水分、ミネラル、水溶性ビタミンぐらいです。水分排出による一時的な浮腫の改善や体重の減少は考えられますが、大量の発汗は脱水症状、乾燥、皮脂の過剰分泌、熱中症、筋肉の痙攣などを招く事があります。発汗する場合、水分や栄養補給はむしろ意識的に行うべきです。それを疎かにしてただ発汗するだけでは、逆に健康を害してしまう事もあります。

ちなみに気温の上下動によってはいわゆる「夏バテ」になる事があります。夏バテは主に自律神経の疲労によって起こると言われていますが、実は一時的なナトリウムの不足によって胃液の分泌が悪くなり、消化が上手くできない事による「胃もたれ」が大きな原因という説があります。ナトリウム(塩分)と聞くと制限した方が健康に良いというイメージが強いですが、そのように適度な補給が必要な場合もあるのです。重要なのはカリウムとのバランスであり、ナトリウムは問答無用で制限すれば良いという訳ではありません。


腸内環境を整え、ビタミンを作ろう

ビタミンは人体にとって必須の栄養素であり、基本的には食事から摂取する必要があります。しかし実は腸内細菌が食べ物(食物繊維等)を分解する際、その腸内細菌によって一部のビタミンを合成する事ができます。特に腸内細菌によって補給されるのが「ビタミンB群」と「ビタミンK」です。

ビタミンB群はビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ナイアシン、ビオチンの8種類の総称で、実は腸内細菌ではそれら全てを作る事ができます。特にビタミンB群は代謝を補助する「補酵素」として重要で、糖・蛋白質・脂肪の関わる様々な代謝に関わる重要なビタミンです。つまり何らかの原因で腸内環境の悪化、あるいは食習慣におけるビタミンB群の不足は、積み重ねにより髪の毛にも何らかの悪影響を及ぼす事があります。

またビタミンKは出血した際に血を固める役割や、カルシウムの吸収を促す役割を持っています。髪の毛とはおそらく直接的な関係はありませんが、特に女性ではカルシウムが不足しやすいと言われており、単にカルシウムを摂取するだけでは不十分な場合があります。「腸内環境を整える=カルシウムの吸収を促す」というイメージは中々できませんが、実は影響しているのです。


腸内環境には食習慣以外に様々な要素が関係している

「腸内環境を整えよう」とした時、多くの人は食事だけで何とかならないかと考えます。しかし一度狂ってしまった腸内環境は、食事だけでは改善されない場合があります。何故なら腸内環境は食事以外にも様々な影響を受けるからです。

特に「睡眠習慣の乱れ」は腸内環境へ影響を及ぼす要素の一つです。睡眠は臓器やそれを管理している脳を休めるために重要な生活習慣であり、その睡眠習慣が乱れれば、当然胃腸の働きは鈍くなります。いくら体に良いものを食べても、胃腸が活動的でなければ消化不良を起こし、異常に便の量が増えたり、便が固くなったり、下痢をする事にも繋がります。まずは睡眠習慣を改善すべきでしょう。

また睡眠習慣の改善と合わせて行うべきなのが「ストレスコントロール」です。規則的な睡眠には「セロトニン」と「メラトニン」という2つのホルモンが関係しています。この2つのホルモンはドーパミンやノルアドレナリンなど、特に精神状態に関わるホルモンをコントロールする役割があります。つまり睡眠習慣の乱れは精神状態を不安定にさせ、それによってストレス耐性を低下させる事があるのです。例えば「緊張して便が緩くなる」という経験がある人もいると思いますが、あれもストレスによる過剰な反応の一つです。睡眠習慣が崩れると、そのようにストレスに対して過敏に反応するようになり、それが腸内環境も崩れさせるのです(もちろん自分の周囲の環境を整えたり、物事の受け止め方を変えるという事も重要になる)。


食物繊維と発酵食品だけに頼るべきでない

よくありがちなのが「食物繊維の過剰摂取」です。お腹に良いから、健康に良いから、ダイエット効果があるから・・・などと言って野菜ばかり食べる人もいますが、元々食物繊維は消化酵素では殆ど分解する事ができず、腸内細菌でも緩やかにしか分解する事ができません。また例え分解されたとしても、殆どエネルギーにもなりません。

そのため野菜だけを食べるような極端な食習慣では、いわゆる「省エネ体質」になってしまう可能性が高いです。省エネ体質になると、エネルギー消費の激しい筋肉を維持する事よりも、脂肪のように長期に安定したエネルギーを節約しながら「今を生きる」事を優先させるようになります。すると筋肉は当然落ち、基礎代謝が大きく低下、その状態で食事を戻せば、いわゆる「リバウンド」のリスクも高まる事になります。

また「お腹に良い」とされるヨーグルトや納豆などのいわゆる「発酵食品」も、そればかりを食べる事では、全体的な栄養バランスの偏りに繋がる事があります。例えば大豆は確かに全体的な栄養価が高いのですが、それだけでは補給できない栄養素も当然ある訳です。また乳製品に関してもそれは同じで、ヨーグルトだけで1日に必要な栄養素を摂取できるかと言えば、それは到底無理ですよね。

心身の健康を維持するためには「人体にとって必須の栄養素を、バランス良く摂取する」という事が大前提であり、特定の食べ物あるいは特定の栄養素に集中し、それ以外の栄養素が疎かになってしまったら、いくら体に良い物を食べても何の意味もありません。「特定の食べ物や栄養素を摂取するだけで便通を改善しようとする」という考え方が、そもそも大きな間違いなのです。今こそ認識を改めるべきでしょう。


全身をよく動かすような運動をすべき

例えば日常的に椅子に座った姿勢を続けていると、背中が丸くなり、お腹や背中の筋肉が衰えてしまいます。お腹や背中の筋肉は臓器を支え、正常な位置に保つ役割もあります。また筋肉は収縮する事で周囲の血液を温め、それをポンプによって循環させ、体温を保つ役割もあります。そうして臓器の周囲にある筋肉を使う機会が減ったり、筋肉が衰えたりすれば、胃腸の働きが鈍くなる事があるのです。特にお腹周りの筋肉をよく動かすような「全身運動」は、胃腸へ直接的な刺激を与える事ができ、胃腸の働きを活性化させます。それも髪の毛のためには重要な事です(ストレス解消という意味でも重要)。

更に、激しい運動によって筋肉に対して一定のストレスを与えると、そのストレスから細胞を守ろうとする事で、筋肉の細胞は次第に大きくなっていきます。これは環境に適応する防衛本能の一つで、これが起こるとそれに必要な代謝を活性化させる事ができます。つまり筋肉の材料として必要な栄養素を消化・吸収・利用するための反応が促され、またその反応の過程で生まれた老廃物を排出するための反応も促されます。それによっても胃腸の働きを活性化させる事ができるのです。そのように「代謝を促す必要がある状態」を作り出す事も、実は便通の改善には必要です。